2026年2月20日#テクノロジー
日立チャネルソリューションズ株式会社は、社員の気づきや身近な困りごとに対し自分たちの手で解決しようとする風土があります。社会課題の解決をめざしてイノベーションや新事業などのアイデアを創出するイベントや活動を実施しており、技術力を活かしてコロナ禍にいち早くタッチレスソリューションを提供するなど、安心、安全な社会インフラの構築に貢献してきました。また、社員の課題やアイデアから働きやすい職場環境づくりにも取り組んでいます。
今回も、身近なトイレの困りごとに対して、職場環境を良くするため「まずは自分たちでできることをやってみよう」という社員の思いから、IoT技術およびクラウドサービスを活用し、試行錯誤を重ねながらトイレ空き状況の可視化に取り組んだ事例を紹介します。
技術部門に所属するT氏は、長年ハードウェア開発を担当したベテラン技術者で、現在技術戦略の立案・企画と実行を推進しています。愛知県尾張旭市の旭本社で勤務し、設計棟と呼ばれる5階建てビルの4階に職場があります。各階には100〜200名が働き、トイレは各階に1カ所設置されています。時間帯によっては、トイレが混雑し、個室がすべて埋まることも多々ありました。職場のある4階のトイレがいっぱいの時に、同僚が5階に行くと満室でしたが、別の階には空きがあったということもありました。トイレ探しで困っている従業員の姿をT氏は時折見かけていました。
T氏は、この状況に対し「今、自分にできることはないだろうか?」と考えました。この課題を解決すべくプロジェクトのリーダーとして、ソフトウェア開発メンバーの協力を得ながら、行動を開始。まずは、自らの業務でも取り組んでいるIoT技術を活用することにしました。
トイレの個室ドアロックに、環境発電(エナジーハーベスティング)機能付き低消費無線通信モジュール「EnOcean」*を搭載したものを使用。電源や電池などバッテリー無しで無線通信ができ、ドアロックの開閉により発生した微小な電力を使って通信するモジュールです。テストでロック開閉により、ドアロックから電波が飛ぶことを確認できました。これでトイレ可視化に向けておおよその目星がつき、自らの職場のある4階男子トイレのドアロックを総務部門に相談して、EnOcean搭載のものに取り換えました。

トイレ利用状況表示の全体構成図
「電波が安定して届かない!?」思わぬ事態が発生しました。事前の動作確認では、フロアの端から端までの距離で電波の受信を確認できていました。しかし、実際にドアロックをトイレに設置してみると、ドアロックの無線通信モジュールからの信号が安定せず、使用中なのに空室の表示になったり、その逆で、空室あるにもかかわらず満室と表示されたりする状況が頻発。。。
原因究明のため、T氏は「課題は現場にある」と信じてトイレにこもり、評価を繰り返し、続けること数週間、成果が表れました。
奥まったところにあるドアロックからの電波は、人の動きや空間の複雑な構造などの影響を受けていたことがわかりました。最初は受信機を、オフィス内の「トイレ空き状況表示用モニター」近くに設置していました。電波の状態を計測しながら試行錯誤、受信機をトイレの近くへ移動させ、また中継器も設置し、さらに位置を変えてさまざまに調整しました。その結果、電波の干渉や吸収などによる影響を回避し、ほぼ100%の精度で正しく状態が表示できる配置を見つけ出すことができました。

受信機のベストポジションを探しているようす
今回開発したトイレ空き情報表示システムは、自席のPCやスマートフォンから確認できます。使用中の個室を赤、空室を青で表示し、多くの人にとってわかりやすい色とデザインで画面を構成しました。また、カラーユニバーサルデザイン準拠の色を採用し、多様な色覚の方にも配慮しています。

1階から5階まですべてのトイレ(個室)の空き状況を表示

確認したいトイレ(階)の詳細を表示

トイレ付近に設置されたディスプレイの案内画面
4階で稼働したトイレ空き情報表示システムは、その後全5階のトイレにも導入されました。各階へ広げる際に、クラウドサービスへの接続にも取り組みました。そして、クラウドサービスを活用して統計データを収集し、オフィス全体のトイレ利用状況を可視化できます。
トイレ空き情報表示システムの導入は多くの従業員により大変好評で、無駄足になるようなケースが減少し、従業員満足度向上と効率化に貢献しています。
日立チャネルソリューションズはATMをはじめ、金融機関、流通、公共、交通などの分野に向けて、社会インフラを支える製品・サービスを提供しています。今回のように、自由で柔軟な活動や新しい取り組みにも積極的に挑戦しています。
今後も当社は、社員の主体的な取り組みと技術力を活かし、より快適で安全な職場環境づくりに努めてまいります。
これからも私たちが創造する製品、サービスにご期待ください!